ある意味シンプルで選考基準がわかりやすい認可保育園と比較すると認証保育園の選考基準は全く公表されていないですし、不透明です。ですが、いざ在園してみたり、周囲の認証在園者を観察してみたりすると、なんとなく認可保育園とは違う共通項が見えてくるものです。見学会で選考基準を質問してみても「当園の方針にご賛同いただける方…」なんて言われて「だからそれってなんなのよ!?」と思った方も多いのではないでしょうか。あくまでも経験と見聞からの推測ですが参考にしてみてください。
知っておきたい認可と認証の違い3つ
認証保育園と認可保育園は根本的なシステムが違うので、認可保育園と同じようなスタンスで保活をしているとかえって選考で不利になる可能性があります。
①認証保育園の入園者は園が選んでいる
認証保育園の保活で絶対に頭に入れておきたいことは「決定権はすべてその保育園にある」ということです。なぜなら認証保育園はその園やその親会社・法人などが単独で運営・管理しており、選考は区の管理下には無いからです。
認可保育園の入園内定者は、公立・私立に関係なく、区が選考していますのでここが大きな違いですね。
②契約の仕方が違う
認可保育園は「基本保育時間」というのが決まっており、7時30分~18時30分の範囲内であれば、利用料金が変わることはありません。一方で、認証保育園は、あらかじめ家庭ごとに1日の利用時間を細かく決めて契約します。
ちなみに、その契約時間の範囲外はすべて延長料金が発生します。
③看護師さんがいない
数年前から私立認可保育園は看護師さんの常駐が義務付け、公立は努力義務となっているようです。しかし、私の知っている限りでは、認証保育園で看護師さんがいる園はありません。「それと保活とどういう関係があるの?」と思いますよね。ちゃんと関係あるのです。
☆そのほか在園中に感じる認可保育園との違いはコチラ☆
忙しアピールは逆効果?!
認可保育園はいかに忙しいか、いかに仕事をしているかをいろんな面からアピールしないと入れません。しかし、先述のようなシステムの違いを考慮して認証保育園側の目線で考えると、出来れば避けたい人というのが絞られてきます。
残業が多い人は不利…かもしれない
認証保育園は、都や自治体から補助があるとはいえ、基本的な収益(売上)は保護者からの保育料、経費は全部自社負担です。
そして、これは保育園に限った話ではないですが、経費の大部分を占めるのはおそらく人件費です。しかし削減しようにも、認証保育園でも、認可と同じく児童の人数に対して配置する職員の数には決まりがあるので、その時に園にいる児童に対しては最低限の人員は確保しなければいけません。あらかじめ家庭ごとに細かく契約時間が決定しているということは、それに合わせて人員の配置も細かく管理できるということです。
そのため、イレギュラーな残業が多く、契約時間外の延長を頻繁にしてくる人は、このサイクルを乱してしまうので、あまり歓迎されないかもしれません。
と思いがちですが、こちらもおそらくあまり歓迎されません。
保育士のパートさんは、自分も子育て世代の人が多いので、朝が早いのはOKでもだいたい14時~15時で退勤する人がほとんどです。そのため、夕方以降の人員を確保するのはなかなかハードルが高いようです。
それを裏付けるように、たとえ公には「20時まで営業」となっていても、認証保育園のお迎えは16時30分~18時までがピーク。過去に私自身の子供が在園した園や友人の子供が在園した認証保育園の話を聞いても18時30分という認可保育園での基本時間を超えて毎日捕食を食べて帰る子は各園0~1人くらいでした。
職場が遠い人は不利…かもしれない
先述のように、認証保育園には看護師さんがいません。そのため、お熱などの緊急時に、すぐに対応できない家庭は歓迎されないかもしれません。
たとえ、電話がかかってきたあとにママがすぐに退社していても、職場が保育園から片道1時間以上あったら、結構な時間がかかってしまいます。認証保育園は多くが0~2歳の子が多いので、まだまだ熱も出やすく、急変もしやすいです。医療者が常駐しない環境で、児童の安全と園のリスク回避を考えると、できるだけすぐにお迎えに来てくれる家庭が望まれていそうです。
対策は…?
そんなこと言われても、仕事をしている以上、忙しいものは忙しいですし、職場の場所も変わりませんよね。では、入園申込みの時にどういう対策すればいいかというと私がおすすめしたいのは以下の2つの方法です。
②祖父母など信頼できる第三者がいれば、その人の存在をアピールする
契約時間については、例えば、ママの勤務時間が8時~17時00分で通勤距離が片道30分くらいの場合、それに合わせて契約すると朝が7時半前になってしまいますよね。でも、少し朝がゆっくりなパパが9時頃に送ってくれれば契約時間を短くすることができ、認可保育園の基本時間の範囲に納めることができます。認証保育園に通っていると、そういう方法をとっている家庭は少なくないです。
また、両親揃って長時間激務の場合は、もしおじいちゃんおばあちゃんなど、信頼できる第三者がいれば、その方に朝の送りか夜のお迎えか、どちらかだけでもお願いできれば、契約時間を短くすることができますね。そしてこれをすると、すぐ近くに緊急時に対応してくれる祖父母がいるというのが保育園側にも伝わり、保育園側もとっても安心だと思われます。
入園申込の書類では、過度なアピールや自己中心的なアピールはマイナスになる可能性がありますが、なにか自由に書いても良いような欄が設けられている時には保育園側の負担が減るようなアピールポイントがあれば、書いてみたほうが良いと思います。
単願・併願は少し意識したほうが良いかも
以前にも少し触れましたが、認証保育園は「絶対に辞退しない人」というのはありがたい存在だと思われます。4月入園一斉申込の時に単願で出すというのは相当無謀ですが…すこーしだけ意識してみるのも良いかもしれません…。
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有職かどうかは関係ない
ところで、認証保育園は正確には認可外(無認可)なので、申込みにあたり有職かどうかというのは選考には関係ありません。さらに、4月入園で申込みをする際に、4月に復職するかどうかというのも関係無い園がほとんどだと思います。
実際に在園してみると、意外に「求職中なんです」という現状では専業主婦の方や「11月復帰なんです」という人が各学年数人いたりするものです。また「週3日勤務」の人や「14時までの仕事」なんて人も珍しくはないですよ。
ですから、「働きたいけど、待機児童すごいって言うし…」と保活を諦めようとしている人にもチャンスはあります!私自身も長男を認証保育園に入れた時には求職もしていない、本当の無職でしたから。諦めないでください。
年度途中はただの「運」の場合も
頻度は高くないまでも、年度途中に欠員が出て急遽入園可のご連絡をいただくことがあります。この時、本当にキャンセル待ちの順番通りにお声がけがある保育園もあると思いますが、中には「退園した子と同じ性別・同じ月齢」という選び方をしている保育園もあるようです。
これは、月齢が小さいほど、保育園側も離乳食などその子の月齢に合わせた対応をしているので、同じ月齢、性別の子をいれることで、保育園側の負担を軽減できるようにしているのでしょう。ですから、運が良ければキャンセル待ちに並んでおくだけでも可能性はあります。
近況・就労状況のウソは書かない
認可保育園申込の「盛る」傾向は忘れて、認証保育園の入園申込書では、ウソを書くことはおすすめしません。なぜなら入園後は、選考をした張本人(=園長)がずっと目の前にいるからです。
表向き「抽選」だと言っている認証保育園もあり、本当に束の書類から「エイ!」と引き抜くスタイルの園もあるかもしれません。ですが、かつて認証保育園で働いていた友人によると、その園では、書類一枚一枚をしっかり読み込み、すでに在園している子供もたちの契約時間や、スタッフの勤務時間を考慮して厳選していた、とのことです。人数も少ないので当然書類に書いた内容は記憶にあるでしょうし、ウソを書いて内定をもらってもその後が気まずくなるだけです。
認証保育園は、本当に人と人の信頼関係なので入園時にそこを犯すのは危険。たとえ保育園の負担が軽くなるアピールがなくても、盛らず、減らさず、ありのままで選考をお願いしましょう。また、入園した後には、残業が増えたり、本当に仕事の状況が変わってしまっても、かなり柔軟に対応してくれる園がほとんどだと思うので、入った後にそれらを理由に退園になるなどの心配はいらないと思います。